Pepa Cra Life ペーパークラフト雑感

東京・新宿・神楽坂にWork shopを据えて、デカ!ペパライフを始めることとなった。
その名はArt Galley kagurazaka 一言でいうと「CaffeとWork shopが併設された貸しギャラリー」である。
デカ!ペパ専用とはいかないけれど、ホームページで見られる実物作品が常時展示されているのでぜひ見に来てほしい。
ここでのテーマは「デカ!ペパ」をいかに商品化していくか、ということ。その一部始終をこれから日記にして開陳していこうと思う。
その先に待つのは成功か失敗か……。

第10回世界自然・野生生物映像祭ージャパン・ワイルドライフ・フィルム・フェスティバル'11にデカ!ペパが出品。

8月4日~7日の4日間、富山市で開催された世界自然・野生生物映像祭に賛助催事としてデカ!ペパを出品しました。

世界53ヵ国からの459本の応募作品に混じって、我がデカ!ペパもその勇姿を披露、多くの子供たちの熱い視線をあびていました。

会期中メガ!ペパ「アフリカゾウ」を提供、その体に今回の大震災被災者への激励メッセージを来場者に書いてもらい、被災地から訪れた子供たちに託しました。

今後も様々なイベントを通してデカ!ペパに活躍してもらいたいと考えています。

会場全景
入り口の鷹 / 子供たち

「デカ!ペパ展」

展示物の少なさに開催が危ぶまれていた「デカ!ペパ展」 ペパクラ作家の諸兄の協力出品を得て無事開催できました。
若者の街とは言い切れない「神楽坂」でのペーパークラフトの展示、 心配でしたがまずまず平均点の入場者数で10日間を乗り切りました。
意外だったのはクラフト教室が盛況だったこと。子どもの参加はもちろん 若い女性も楽しんでくれたようです。
反省するのは「男の世界」色が強かったこと。もっと女性的な匂いが欲しかった。
女性の作家さん集まって〜〜〜!! これが次回の目標かも。

デカ!ペパ展に協賛出品してくれた皆様に感謝!

紺野哲也氏
ロボットからヒューマノイドまで精緻な計算に基づいた造形術は必見でした。

紙の穴総帥氏
ペーパークラフトに動く仕組みを付加した作品は一様に見学者の興味を惹いていました。

吉田信吾氏
迫力あるキャラロボ軍団、特に関節技は猪木なみの凄さ!この技には実用新案は 認可されていないのでしょうか?

和田洋一氏
大デレゲーションは大物からミニチュアまで完全網羅、特に人気だったのはミニチュア。 ノスタルジックだけでなく幅広い層の方が癒しを感じてくれたようです。

ふくまつ
やわらかで触れることのできるキャラたちは子どもたちに人気でした。

矢部直人
一体だけの乱入で存在感を示してくれました。次の機会にはぜひ軍団をひきいて!

ニキ
ミニ!ペパ ガンダムの細密造形力に脱帽! デカ!ペパもぜひ小さくしてください〜!

デカ!ペパ展

「ムサシ」への思い入れ

思いはずーっと昔からあったが、人間制作に一歩を踏み出すには勇気が必要だった。そのきっかけを作ってくれたのが「ムサシ」だった。

人間を作ろうとする場合顔から手を染めることになるが、写真を見て省略形を想像するのはなかなか難しい。

そこへいくと漫画ならば省略ばかりでなく個性の強調まですでにおこなわれているではないか。さらにコマ割りで全方位のショットが用意されているのだ。
これだけの素材を前に一歩をふみださない手はない!

一気呵成に仕上ったのはいうまでもない。もうヒューマノイドを作るのに勇気を振り絞ることはないだろう。

最新作「白頭ワシ」

形の美しさに魅せられて作り始めたのはもちろんだが、巨大な羽をどう自立保持するかが超えるべき課題だった。

芯棒を通して加重を支える構造では重さが増すだけである。これは論外。
で、なにかアイディアが必要である。沈思黙考…。
ふと目をやるとそこにダンボールが。

閃きました!ベロ状の切り込みを入れ先っぽを対角面に貼る、それを交互に繰り返せば構造的には充分強度を保つことが出来る。
さらに平面の余分な部分を切り抜けば軽量化も可能ではないか!

出来上がった翼の仕上がりは構造的にも重量的にも完璧だった。
作品一つ一つに新しい発見があるのは非常に嬉しいことなのだ!
白頭ワシを眺めながら、来年の鳥人間コンテスト出場を夢見る私でした。

白頭ワシ
翼構造図

ピカソの凄さ

立体派の優として、いろいろな角度から見た物の形を一つの画面に収め、一点透視図法を否定したことで評価されるが、僕の認識は違う。

ある視点からある視点に変わるということは時間経過を伴い、それを同時に定着させるのは、時間を自在にあやつることとなる。

ピカソの凄さは、それまで時間に縛られてきた芸術を時間の呪縛から解き放したという一点にあるとは言えないだろうか?

錯覚

デカ!ペパで全ての作品の眼に使われている[追いかける視線」がこれ。下図の通り非常に簡単な理屈だ。

錯覚
ゴリラ

省略

ここは省略するが、ここは省略しない。デカ!ペパを制作する上で常につきまとう命題だ。

この答えは制作者によって微妙に違う。この違いこそが作品に制作者の個性をもたらすのだ。反対の誇張も同様に重要な要素だ。

デカ!ペパの球

球を一枚の紙で作ろうとした場合あなたならどうする?
地球儀をつくるときのようにバナナの皮状に部品を組上げるか、五角形等正多面体を組上げるか、輪切りにして薄皮をはぐようにした部品を組上げるか等、方法は幾つも無い。
さらに仕上がりの美しさの問題や球であることを認識してもらうには錯覚や錯誤の助けを借りなければならないなど、ペーパークラフトでの球の制作には課題が多い。

その点においてデカ!ペパの球の満足度はいかがであろうか?

デカ!ペパの球

カメラと人間の目

この二つの違いで決定的なのは焦点だ。
焦点の合った場所意外はボケて見えるのは常識だ。
カメラの焦点距離を短くすればこのことが良く分かる。

これに対し、人間の目は常に焦点を合わせるように補正して像を結んでしまう。画面上の全ての場所がくっきりとした輪郭を持ったプリントのようなもので、これは非現実的だ。

この目の持つ特質を問題点と定義し、補正することは立体物を作るうえで絶対的に必要なテクニックなのだが…。

デカ!ペパの範疇を外れた物は全てプチ!ペパと呼ばせてもらおう!!

(この定義では今、世の中にあるペーパークラフトは全てプチ!ペパってことになっちゃう…)

僕らが勝手にそう思いたいだけで、他意はないので聞き流して下さい。

もちろん僕らもデカ!ペパだけでなく、プチ!ペパ制作にいそしんでいます。自分勝手に作れない不自由さはあるけれど…。

プチ!ペパ

「のり」

デカ!ペパで使用している接着剤は「木工用ボンド」だ。速乾性のものもあるが 作業時間に余裕を持たせる意味では乾燥が早すぎて適さない。
特に紙に使用する 場合はその傾向が強いのだ。

ペーパークラフト作りで仕上がりの良さを左右するのが接着剤の扱いのうまさ。塗布量の調節が美しさを決める。

木工用ボンド

「紙」

デカ!ペパで使用している紙は「ケント紙」。
厚さ157g/m2と210g/m2を使い分けている。

ケント紙を選んだのは、モノコック構造のデカ!ペパにふさわしい腰の強さを持っているからだ。
もちろんどんな紙を選ぼうが自由だ。紙によって構造が変わってもなんら問題は無い。

要は紙の声をいかに聞き取り、無理強いをしないで、立体物に気持ちよく変身していただくかということなのだ。

ケント紙

「金属製」

デカ!ペパは、構造的に曲げを30°〜40°以内に押えているので、紙の腰を折ることがない。ということは薄い金属板製のデカ!ペパも可能ということ。

接着剤の代わりに小ビズで留めるなど、工夫次第でおもしろいディテールが可能だ。もちろん我が社ではすでに開発に着手している。

今後、陶紙、プラ板などあらゆる素材での製品化を目指しているのはもちろんだ。

金属板製のデカ!ペパ

「道具」

デカ!ペパで使用する道具は、ハサミ、カッター、シャープペン、ラジオペンチ、セロテープ、木工用ボンド、定規、消しゴムだ。

特別な道具はラジオペンチくらいだ。長いのりしろをいっぺんに圧着できるノーズの長いタイプがお勧め。曲げ癖をつけるのにも便利だ。最初手にすると大きすぎるように思えるが、大は小をかねるという格言を実感できる大きさだ。
KTCラジオペンチ(ロングタイプ)PSL-200L-Sがお勧め!

道具

「商品として色付けはしないの?真っ白なまま?」

質問の答えは未だ決めかねています。これから事業化していくなかで、色付けをするかしないかという選択は一番大きな問題です。

プラモデル路線かガンプラ路線か選択肢は二つしかないのでしょうか。
大きな声では言えませんが…。実はこの答えは決まっているのです。「色付けはしないけれど”モノトーンの線描”だけはする」というのが答えです。

たとえば、顔の細部、二重まぶたとか、指の爪、体全体をおおう毛並であるとか、必要最低限のじゃまにならない描写だけを付加するつもりです。
こうすることで、組み立てただけでも大きな満足感を感じられるでしょうし、色付けの際の下絵としても活かせるのではないかと考えています。

キリン

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